男性更年期 vs 女性更年期 ―― 「ダウナー系」と「アッパー系」、その違いを知る
「更年期」と聞くと女性特有のものというイメージが強いですが、実は男性にも更年期があります。しかも、男女で現れやすい症状のタイプがかなり異なります。今回はその違いを、ホルモンの動き方という視点から整理してみます。
男性更年期は「じわじわ下がる」タイプ
男性の更年期は正式には「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれます。女性の閉経のような明確な区切りがなく、30代後半〜50代以降にかけてテストステロン(男性ホルモン)が緩やかに低下していくのが特徴です。
テストステロンは筋肉や骨の維持だけでなく、意欲や活力に関わる神経系にも深く関わっています。そのため不足すると、以下のような「ダウナー系」の症状が前面に出やすくなります。
疲れが抜けない、朝から気力がわかない
何に対してもやる気が出ない
気分の落ち込み、憂うつ感
集中力の低下
性欲減退、ED
これらはうつ病の症状ともよく似ているため、実際には心療内科でうつ病として治療されていた方が、後からホルモン低下が見つかるケースも珍しくありません。抗うつ薬だけでは改善しない倦怠感や意欲低下がある場合、テストステロン値を調べてみる価値があります。
女性更年期は「変動期はアッパー、その後はダウナー」
一方、女性の更年期は閉経前後にエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に低下することで起こります。この「急落」に対して、卵巣や副腎由来のアンドロゲン(男性ホルモン)は緩やかにしか減らないため、相対的に男性ホルモンが優位になる状態が生まれます。
エストロゲンは自律神経の安定にも関わっているため、急激な低下は交感神経を優位にしやすく、更年期の変動期(閉経前後)には次のような「アッパー系」症状が目立ちます。
ホットフラッシュ、発汗
動悸
イライラ、怒りっぽさ
不安感、焦燥感
不眠
ただし、これは更年期の前半だけの特徴です。閉経後しばらく経ってエストロゲンが低い状態で安定してくると、今度は気分の落ち込みや倦怠感、意欲低下といった「ダウナー系」症状が目立つようになってきます。つまり女性の更年期も、時間の経過とともにアッパー系からダウナー系へと様相が変わっていくわけです。
まとめると
男性更年期(LOH症候群) | 女性更年期 | |
ホルモン変化 | テストステロンが緩やかに低下 | エストロゲンが急激に低下、相対的に男性ホルモン優位に |
症状の出方 | じわじわ型(ダウナー系中心) | 変動期はアッパー系→その後ダウナー系へ |
代表的な症状 | 倦怠感、意欲低下、抑うつ感 | ホットフラッシュ、動悸、イライラ→のちに倦怠感・抑うつ |
男女どちらも「ホルモンバランスの変化が自律神経や気分に影響する」という点は共通していますが、そのプロセスや現れ方には明確な違いがあります。
気になったら
どちらのケースも、うつ病や甲状腺機能低下症など似た症状の別の病気の可能性があるため、自己判断せず医療機関で検査を受けるのがおすすめです。男性ならメンズヘルス外来や泌尿器科、女性なら婦人科や更年期外来で、それぞれホルモン値を調べてもらえます。原因がはっきりすれば、生活習慣の見直しやホルモン補充療法など、次の一手も選びやすくなります。
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※本文中の「アッパー」「ダウナー」という表現は、症状の傾向を直感的に理解しやすくするために用いた比喩的な表現であり、医学的・薬理学的に厳密な分類ではありません。実際の更年期症状は、エストロゲンなどのホルモン変動に伴う自律神経系・神経伝達物質系の複合的な調節不全によって生じるものであり、単純な興奮・抑制の二軸では説明しきれません。症状への対処や治療については、自己判断せず医療機関にご相談ください。

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